ゾンビの部活動

一人になりきれ

フィルムの頃 印画紙の記憶 黒の色

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20年前のブタ 碇高原

前回に続き写真昔話。

幸いレンズ沼とやらにははまらず、50ミリ1本で撮っていたのですが、印画紙には色々手を出しました。

 

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使っていた印画紙

フィルム、フィルムと現像液の組み合わせ、現像液の温度、そして印画紙。

この辺でぱっと見の雰囲気が変わるのです。

 

フィルムはフジに始まりイルフォード、最終的にコダックTRI-X、現像液はエクストールの組み合わせに落ち着きました。

 

ブタの写真の頃はまだネオパン400にD-76という組み合わせで使っていました。

夏にかなり雑な現像をしていたので粒子が荒れています。

 

当時は反省しましたが、デジタルのきれいな写真に慣れてくると、モノクロはこれくらい粒子感があった方がええなぁ…となってくるんで不思議なもんです。

 

最初に使った印画紙はイルフォードのマルチグレード(多階調)RCペーパー。

フィルターでコントラストが変えられて、水に入れてもふやけず、水洗時間も短いお手軽なヤツ。しかしプラスチッキーな質感がなんとも…。

 

すぐに同じくイルフォードのマルチグレードのバライタ(ファイバーベース)に移行。

これは普通の紙のように水でふやけます。

 

現像、停止、定着、水洗とそれぞれのバットを移動させるわけですが、移動途中でトングから落ちてクタッと二つ折りになった事数知れず…。

印画紙のサイズが大きくなると、息を止めて移動させてました。

光沢紙でも安っぽさが無く、黒の階調の豊かさには「おおっ」ってなりました。

ファイバーベースというだけあって、繊維の微細な凹凸が作る質感がいいんです。

 

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バライタの表面

水洗促進剤を使っても水洗時間が長いこと、乾燥させると波打つことも難点で、写真を伸ばすためにスケッチブックに挟んで布団の下に入れる「寝押し」なんてこともしてました。すべてがアナログの時代。

 

そのうち黒にも種類があることに気付きます。

同じイルフォードでもウォームトーンなら緑、ケントメアは冷たく青みがった黒。

 

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イルフォード ウォームトーン

当時安かったアグファも使いました。憧れはベルゲール。使わなかったけど。

最終的にオリエンタルの2号と3号の号数紙がメインになりました。

 

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オリエンタル 3号

多階調紙と違いコントラストは変えられませんが、今までつぶれていた黒の中にしっかりと階調が現れたのです。フィルムの情報の再現性が高い。

焼き込み、覆い焼きが楽(めんどくさがりなのでこれが大きい)。

 

ブタの写真も多階調紙では草を相当焼き込みましたが、オリエンタル2号では黒豚を覆い焼きしたくらいで、ほとんど一発焼きに近かったと思います。

多階調紙は部分的にフィルターを変えて焼いたりと便利ですが、何かを犠牲にしているのかもしれません。

 

しかし号数紙の製造中止、他の印画紙も大幅な値上げ。

自然と写真から離れることに…。